今回は、近年爆増傾向にある『塾通いの時間』についてです。

かつての倍以上の時間を塾に費やす供達

以下のグラフは、日本国内の学習塾における年間売上の推移、つまり市場規模の推移を表しています。

2004年の塾業界の市場規模が約3000億円だったのに対し、2021年では約5500億円。現在、子供の数は当時の75%にまで減っていることを考慮すると、子供一人当たりが学習塾に費やすお金は、20年前と比べて2.4倍になっています。

物価の変動を考慮しても、現代の子供達は僕らが中学生だった頃(20年前)と比較し、2倍以上の時間を学習塾に費やしている事がわかります。

家庭内での教育モチベーションが上昇した事で、子供達のスキルアップのスピードは確実に加速しました。現代の子供達は勉強でも、スポーツでも非常に高いスキルを保有しています。

(学校で行われるテストの平均点グラフ)

特に、学校で行われるテストの点数に関しては、塾通いの増加が大きく貢献していると言えるでしょう。同じ日本国内においても、学習塾の多いエリアの学力は高く、少ないエリアの学力は低い傾向にあります。

この様に、子供達のスキルアップのこと”だけ”を考えれば、毎日習い事に通うなど、特定の訓練機関に子供を所属させる教育法は非常に効果が高いものですが、

弊害もあります。

それは、各家庭で懸命に行われる我が子のスキルアップが、子供達自身の希望ではなく『単に親が配備した環境に従っているだけ』なのであれば、自分で考え、決断し、行動するという『主体性』を養う機会は縮小されていく点です。

『受け身型』と『主体型』の違い

以下の動画を見てください。

動画は近年子供ながらに高いスキルを獲得し注目を集める、いわゆるスーパーキッズ達を特集した番組になるわけですが、

同じスーパーキッズでも、親の徹底教育によって作られた『受け身型』スーパーキッズと、自分から興味を極めた『主体型』スーパーキッズとでは、明らかな違いが生じます。

(親が鍛え込む受け身型の例)

(自らの興味を極める主体型の例)


もはや多くを語る必要もないと思いますが、これを見て何を思うでしょうか。

自らの意思で興味を極める『主体型』のスーパーキッズは、心の底から来る本心に基づいて行動しているため、その言葉や主張には数多くの独自性『明らかな本人らしさ』を垣間見る事ができます。

しかし、親のリードでスキルアップする『受け身型』にはそれがない。(様に見える)

キッズ本人がインタビューに応じても、その言葉にはどこかで聞いた様な言葉ばかりが並び、例えばサッカーで言えば『メッシ』『ネイマール』『スペイン』『バルサ』『レアル』『世界一』と、皆口を揃えます。

スーパーキッズに限らず、これまで多くの子供達と接してきて、『主体型』と『受け身型』では言語能力、思考力、そして表情、専門スキルを除いた全てにおいて”歴然たる差”を僕は常に感じてきました。生じる。

これが、僕が日頃から『学校の成績が下がったとしても子供のマイブームの応援を優先すべき』と主張している1番の理由なのです。

暇が足りない。

学習塾に限らず、子供教育に関わる仕事をしている方であれば、深々とうなずいてくれると思いますが、今回提示した傾向は、一般の子供達の様子にも、完全に当てはまっていると思います。

多くの習い事に通えばテストの点数は伸びるでしょう。しかし日頃から時間にゆとりを持ち、自分の意思で行動できる自由時間を確保できなければ、『主体性』『積極性』の獲得には確実に遅れが生じます。

自分で考え、決断し、行動できる力の獲得には、完全に自分に決定権が委ねられた時間、つまり、

多くの自由時間が必要です。

僕らが生きるこの社会は、今や誰も予想できないほどの速さで変化するようになりました。このような社会を日々楽しく生き続けていくには、変化の度に自分の身の振り方を再検討し、実際に行動す能力が不可欠です。

このことは、コロナによって完全に時代が移行した現在、非常に言いやすくなりました。だから、

進学へのアドバンテージを得るために成績アップに固執するな。もっと暇を作って自由であれ。成績が少し落ちようが興味を突き詰めろ。

と、声高らかに主張したいです。